自身のこだわりの焼き菓子をInstagramで通信販売している、焼き菓子coconi さん。投稿を拝見すると、やさしい雰囲気で統一された世界観で、スコーンに特化した写真が圧巻! いずれ自分の工房を持つことを目標に、現在はレンタルキッチンから米粉スコーンを発送中。そんな焼き菓子coconiさんに、Instagramでの通販に至った経緯や、投稿やレシピへのこだわり、レンタルキッチンの選び方などを伺いました。
目次
- 「罪悪感のないお菓子」で人の心を癒やしたい
- 自分のスタイルに合ったレンタルキッチン選び
- 自由度の高いInstagramだからこそ投稿に工夫を
- 大切なのは行動力とオリジナリティ
- 独自の「栄養たっぷりで満足感のあるスコーン」
「罪悪感のないお菓子」で人の心を癒やしたい
Instagramで卵、乳製品、上白糖不使用の米粉スコーンを定期的に販売している、焼き菓子coconi(@coconi_yakigashi)さん。素材の味わいを生かした手作りのスコーンは、毎日食べても飽きることのない心満たされるほっこりとした味わい。安全な原材料にこだわり、子どもから高齢のかたまで安心していただけるのも魅力です。
“卵、乳製品、小麦、白砂糖不使用の米粉スコーン専門”と聞くと、作り手はさぞやストイックな食生活を送っているのでは……と思っていると、焼き菓子coconiさんから意外な返答が。
「お肉やお魚も大好きです(笑)!」
卵、乳製品、小麦、白砂糖不使用にこだわる理由を、焼き菓子coconiさんはこう語ります。
「思春期のころ、多くの女性がそうだったと思うのですが、私は太りたくない気持ちから食べることに強い罪悪感を抱いていたんです。社会人になりたてのころも、そのまま無理な食生活を変わらずに続けていたのですが、環境の変化や慣れない仕事での不安から心が弱ってしまって……。そんなときに癒やしとなったのが、休日に通うお気に入りのカフェでした。お店のかたのいつもやさしい雰囲気や、楽しくお話できる時間にも癒やされて、“食べること=悪いこと”という意識から、“食べること=幸せ”に変わったんです」
こうして「罪悪感のないお菓子」に興味を持ち始めた、焼き菓子coconiさん。コロナ禍でカフェに通えない期間は、通販などで体にやさしいお菓子をお取り寄せすることも。そうしているうちに、自分の中にお菓子の理想像ができあがってきたのだそう。
焼き菓子coconiさん自身がアトピー体質だったこともあり、体に負担のある食材は使いたくない。さらに栄養もとれるならさらに罪悪感がなくなるのではと、野菜や果物、ナッツやスパイスなど、さまざまな食材を取り入れる「焼き菓子coconi」のスタイルに自然と行き着きました。
今は、添加物などには気をつけながらも好きなものを好きなだけ食べ、体重計に乗ることもなくなったと笑う、焼き菓子coconiさん。
「coconiの名前は、食べることに罪悪感を感じ、行き詰まってしまっているかたに『“ここに”居場所があるよ』とやさしく語りかける気持ちでつけました。かつての私がカフェで救われたように、だれかの心の拠り所になれればと思っています」
自分のスタイルに合ったレンタルキッチン選び
「焼き菓子coconi」を立ち上げたのは2021年10月。
始めは別の仕事をしながら、空いた時間で作ったクッキーやマフィン、テリーヌなど、自作のスイーツをInstagramでアップ。そのかわいらしい写真や愛にあふれる素朴なコメントで、フォロワーを増やしていきました。そして2022年4月、5年あまり働いていた会社を退職したタイミングで、思いきって「米粉スコーン便」をスタート。
「何事もやってみないと分からないと思ったんですよね。実際やってみたらたくさんの課題も見えてきて大きく前進できた気がします」
ブランド立ち上げから半年あまりで通販に舵を切れた理由のひとつは、使い勝手のよいレンタルキッチンがすぐに見つかったこと。
「私が住む兵庫県丹波市は地方都市なので、レンタルキッチンの選択肢があまりありませんでしたが、家からそれほど遠くない通いやすい場所に、ちょうどいい施設があったのは運がよかったですね」
レンタルキッチン選びのポイントを伺うと、
「まずは、施設が『菓子製造業』の許可を取得しているかどうか。これがないと作ったお菓子を販売できません。意外と取得していないところもあるので要注意です。また、予約が取りやすいかどうかも大切です。私は工房開業資金を貯めるために、いまでも週6でアルバイトを続けていて、決められた曜日にピンポイントで予約ができないと困るので、ここは重視しました。時間割りなのか日割りなのか、自分のスタイルにあった料金設定かどうかも事前に確認しておきたいですね」
お菓子作りの日は、朝から晩まで時間との勝負。午前中から仕込み、焼き上げ、それを冷まして包装・梱包、そして夕方の宅配便に合わせて発送作業……。このすべてをレンタルキッチン内でたった一人でこなすには、スコーンが最適だったのだそう。
「例えば、マフィンだとさめるのに時間がかかって発送に間に合わないんですよね。本当はあんこを炊いたりもしたいですが、時間的にそれができないのも残念です。でも限られた条件の中で、自分がどこまでできるか挑戦するのも楽しいですよ」
自由度の高いInstagramだからこそ投稿に工夫を
「米粉スコーン便」の注文の受け付けはInstagramからのみ。その理由を焼き菓子coconiさんはこう語ります。
クリエイター
Instagramのアカウント「焼き菓子coconi(@coconi_yakigashi)」を運営。食品衛生責任者の資格を持ち、卵、乳製品、上白糖不使用のスコーンを販売する「米粉スコーン便」を定期的に行っている。自分の工房を持つことを目標に、現在は勉強しながらレンタルキッチンを利用して活動中。
フリーライター。『地球の歩き方』や『ことりっぷ』などの旅行誌を中心に、紙・ウェブ問わずさまざまな媒体の企画や取材、編集、執筆を手がける。あるときはインド仕込みのヨガインストラクター、東京 下北沢にある場末酒場のバーテンダーなど、別の姿も。