『オレンジページ』などの雑誌の製作には、多くのプロフェッショナルが関わっています。料理ページの撮影現場には、レシピを考え料理を作る料理家、撮影をするフォトグラファー(写真家)、食器やテーブルまわりの小物を用意し演出するスタイリスト、そのほかそれぞれにアシスタントがいるケースもあります。
では、ライターや編集者は一体どんな仕事をしているのでしょうか? 料理雑誌の編集に携わって15年以上、現在はフリーランスで『オレンジページ』でも活躍中のライターが、仕事の内容を公開します。
目次
- 撮影前にもやることはいっぱい
- 撮影当日、試食はいちばん重要な仕事
- 編集・執筆から入稿まで
- 編集者とライターの仕事に線引きは難しい!?
撮影前にもやることはいっぱい
ライターの仕事は大きく2つに分類されます。
- パターン1:取材とライティング(原稿執筆)中心
- パターン2:取材とライティングに加え、編集部分から携わる
料理企画については〈パターン2〉での依頼がほとんど。ここではその場合の動きの一例を紹介していきます。
【1】編集部との打ち合わせ
◆企画内容、スケジュール調整
雑誌の企画テーマは、各出版社(編集部)の編集会議で決定します。大まかな内容や方向性、ページ数、スケジュール等が決まると、担当編集者がライターに仕事を依頼します。
◆スタッフのキャスティング
取材先やスタッフのキャスティングは誌面のイメージに合わせて検討します。企画の方向性とともに編集部で希望が固まっている場合もありますが、ライターに相談をもちかけられるケースもあります。
料理企画では、なんといってもレシピを考え作る料理家ありき。そのほかフォトグラファー、スタイリストのスケジュールも確保する必要がありますが、人気の料理家やスタッフは数カ月先まで予定が入っていることもあるので、早めのアポ取りが必須です。
◆料理点数
紹介する料理点数や内容により、撮影に必要な日数も変わります。そのため、アポ取りの前に大まかなページ構成をイメージし、必要な料理点数を検討したうえで料理家に相談します。
【2】料理家との打ち合わせ、撮影メニュー決め
◆料理家にメニュー案を出してもらう
正式に依頼が決まった料理家へ詳細を伝え、メニュー案を出してもらいます。ここではレシピとして正確な分量などが出ている必要はありません。依頼内容や企画に適したメニュー案かどうかを確認し、不明点があれば問い合わせて調整します。対面での打ち合わせ・メール・電話などやり方はケースバイケースです。
◆メニュー案リストを作成
メニュー案の体裁を見やすく整え、編集部に提出します。使う材料、味のイメージ(おもな調味料)、ざっくりとした調理方法がわかるようにまとめます。
編集部では、企画内容に合っているか、同じ号に掲載される他の企画とのかぶりがないかなどがチェックされます。変更や調整のリクエストがあったものについては、料理家と再度相談します。
【3】撮影コンテ作成
◆コンテ案・撮影リスト作成
撮影するメニューが決定したら、ページ構成を詰めてコンテを作成します。1ページに掲載する料理の点数や見せ方、レシピの表現方法、プロセス写真やコラム記事の有無などを検討し、具体的にラフコンテ(ページの下書きのようなもの)に落とし込みます。
◆編集部・デザイナーと打ち合わせ
作成したラフコンテ、撮影内容のリストを編集部に提出。編集部内で検討すると同時に、雑誌のレイアウトをデザインするエディトリアルデザイナーとの打ち合わせもおこないます。その際は、イメージする写真やスタイリングの参考資料も送付しておきます。デザイナーは雑誌全体の流れや、その中でのこの企画の立ち位置をふまえ、見せ方を検討します。この場でコンテに変更があれば調整し、決定コンテ(撮影の指針にするコンテ)を作成します。
【4】スタッフ打ち合わせ
クリエイター
出版社勤務(飲食業界専門誌、育児誌、料理誌、女性誌など)を経て、フリーランスの編集者・ライターに。食や生活まわりのテーマを中心に、雑誌・書籍・WEBなどで執筆。人物インタビュー、市井の人への取材も大好き。お茶する時空間をこよなく愛する。