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「医食同源」から生まれた、こだわりの調味料『モクレン万能だれ』

「医食同源」から生まれた、こだわりの調味料『モクレン万能だれ』

mokuren(モクレン), 川越 光笑

何にかけてもおいしく食べられるという『モクレン万能だれ』。しょうゆベースの“焼肉のたれ風”の味わいです。並々ならぬこだわりが詰まった調味料で、原材料は「砂糖・動物性原料・化学調味料・保存料・添加物不使用」。パンフレットには「食べるものと、薬になるものの源は同じ」という意味の「医食同源」の言葉が。なぜここまでこだわる商品を生み出せたのか。その経緯を、製造者の親子へお伺いしました。

目次

  • 原材料へのこだわり
  • 『モクレン万能だれ』を作ったきっかけ
  • 苦難を乗り越えた先に
  • ご縁がつながり商品化へ
  • 「楽しいこと、うれしいこと」

原材料へのこだわり

ある日、食通の友人からギフトとして送られてきたのは『モクレン万能だれ』という調味料でした。箱にはていねいに包まれた本品と、手作りのパンフレットが同梱。原材料には「砂糖・動物性原料・化学調味料・保存料・添加物不使用」とのこと。

『モクレン万能だれ』 160ml 800円/200ml 1000円(※価格は2024年10月現在のものです)

さっそく味見をしてみると、砂糖不使用・無添加とは思えないほど、やさしい甘みとコクがありました。パンフレットの文面にある「~医食同源~母の子どもたちや孫たちの幸せを想う心が形になりました」という誕生秘話に惹かれて、インタビューを依頼。

インタビュー当日は、『モクレン万能だれ』の店頭販売をしている東京・八王子のオーガニックカフェ『オレオール☆』へ。出迎えてくださったのは、母娘である福元英乃(ひでの・72歳)さんと、雅乙(まさみ・50歳)さんです。

福元英乃さん(右)と、娘の雅乙さん(左)は姉妹のように仲良し。『モクレン万能だれ』への想いに会話が弾む

『モクレン万能だれ』へのこだわりは、パンフレットでも紹介している原材料からも伝わってきます。
例えば、

  • 天然醸造しょうゆ
  • 圧搾しぼりのごま油
  • 古来伝統製法の玄米の米飴(こめあめ)
  • 北海道産の天然真昆布入り根昆布
  • 宮崎・高千原の原木しいたけ

など。一般的なスーパーでは見かけない商品も多く、探し出すだけで大変な労力があったはずです。

パンフレットの中面には、こだわりの原材料が紹介されている

福元英乃さん(以下、母・英乃さん):
「原材料はすべて、マクロビオティックを学んだ娘が揃えてきてくれました」

福元雅乙さん(以下、娘・雅乙さん):
「私たちが思う“体にやさしく、生命力の高い材料”を探し出すのには時間がかかりましたが、母がそれらを一つずつ調合して『モクレン万能だれ』を作ってくれたのです」

母・英乃さんが心を込めて『モクレン万能だれ』を製造しているシーンも

娘・雅乙さん:
「砂糖を使わないで甘みを出すのが最もむずかしいようでしたが、母が試行錯誤をして、かれこれ構想10年目に完成。『醤油は1種類ではなくブレンドしたほうがいいね』などと試作を繰り返し、今があります」

母・英乃さん:
「娘は長年、マクロビオティックの大森一慧(おおもり かずえ)先生のお教室で一生懸命に勉強していたので、全面的に信頼していました。すぐれた原材料のおかげで、やっとこの味にやっと辿りつくことができました」

会話の中に出てくる大森一慧さんは、知る人ぞ知るマクロビオティックの大家。娘・雅乙さんが最も敬愛するかただといいますが、大森一慧さんのもとで勉強をはじめられたのには、理由があったようです。

娘・雅乙さん:
「20代のころ、いつも具合が悪かったんです。そのころは、大学を卒業して会計事務所に勤めていたのですが、とにかく忙しい職場でした。帰宅時間も遅く、寝る時間も少なかった。いま振り返ると食事もいい加減なものばかり食べていたのだと思うのです。

当時は実家に住んでいたので、母がきちんとご飯を作ってくれていましたが、夜中に台所を使うとみんなを起こしてしまう、という遠慮があったんですよね。それで、自分の部屋でコンビニの惣菜なんかを適当に食べていました。精神的なバランスもおかしくなっていて、悲しいことがあるわけでもないのに、涙が出てきたり……。心も体もかなり不安定な状態でしたね」

思い出しながら話してくださる娘・雅乙さん

母・英乃さん:
「朝、娘の部屋に入ると、買ってきた惣菜を食べたゴミなんかがよく出てきました。私が準備したごはんも食べずに、朝早くから夜遅くまで働いて、体を壊さなければいいのだけど……と心配でした」

娘・雅乙さん:
「その後、結婚と同時に会計事務所を退職したのですが、のちに妊娠していることがわかりました。体調もままならないなか、大切な命をずっとつなげていくにはどうすれば一番よいのか。どういう生き方や食べ方をすればよいのかが、まったくわからなかった。そんなときに、本屋さんで大森一慧先生の本をみつけて、なぜかその本だけ輝いて見えたんです」

その本には、「私たちは自然の一部であり、宇宙の一部である。生かされている命のすべてには法則性があり、宇宙の仕組みがある」というような内容が書かれていたとか。

娘・雅乙さん:
「読んだ瞬間に、雷に打たれたような衝撃を受けて『これだ!』という直感がありました。東京の荻窪にある、大森一慧先生の料理教室へ通いはじめました。ときには、生まれたばかりの娘をおぶって(笑)。いま、その子が20歳になりますが、それからずっと大森一慧先生のもとで学ばせていただきました」

『モクレン万能だれ』を作ったきっかけ

母・英乃さん:
「娘が努力していたのを知っていましたので、私も何かしてあげたくてね。どのような食べものだったら良いのかを、いつも聞きながら料理を作っていました」

娘・雅乙さん:
「産後もずっと母がサポートしてくれていたので、本当にありがたかったです。私は具合が悪かったころがあまりにも辛すぎて、もうそこへは戻りたくなかった。その気持ちもあって、穀物菜食の食事で娘を育ててきました。娘は、生まれたときからその料理をおいしそうに食べていて、たまに体調をくずすことはあっても、病院や薬にお世話になることはほとんどありませんでした」

母・英乃さん:
「その孫がね、突然『焼き肉が食べたいなぁ』っていうんですよ。孫はお肉は好きではないから、肉そのものが食べたいわけではないことはわかっていました。お肉ではなく“焼き肉風の味”が食べたいんだろうなと。

その“焼き肉風の味”をどうしたらいいのかしらって悩みましたけれども、『わかった、おばあちゃんが作るよ』って言ってしまったのです(笑)。まずは、味の要である“焼き肉のたれ”を作ろうとひらめきました」

「孫の希望を叶えたくて」と母・英乃さん

その発想の原点を聞くと、母・英乃さんのご実家は、岡山県で今でも続く老舗の焼き肉屋さんだったそうです。

母・英乃さん:
「さっそく、昔から食べていた焼き肉の味を思い出しながら、たれを作ってみました。そうしたらね、いいものが作れたのです。『これ焼き肉のたれじゃん!』って、自分でも感動してしまってね。孫に、植物性食材で作られたお肉風のものにかけて食べさせてみたら、『おいしい~』って喜んでくれて、それが本当にうれしかったのです」

苦難を乗り越えた先に

クリエイター

「医食同源」をコンセプトに、「砂糖・動物性原料・化学調味料・保存料・添加物不使用」の『モクレン万能だれ』を製造。母・福元英乃さんの病をきっかけに、娘・雅乙さんとともに手作りで販売を開始。家族の幸せを想う製造ストーリーや、その味わいに心惹かれるファンも。

「ヒトは食べたもので体がつくられる」をモットーに“食と健康”をライフワークとする。日本の食文化に関心が高く、著書に『おにぎり~47都道府県のおにぎりと、米文化のはなし~』(グラフィック社刊)がある。2024年現在、管理栄養士としての執筆活動にも力を注いでいる。

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