
ほぼ毎日全食“グルメハンバーガー”を食べ続け、全国2,000店舗以上を巡ってきたハンバーガーマニア・えどぽよさん。Instagramでは投稿の工夫や独自の美学が光り、注目を集めています。その“沼っぷり”から、SNSでの発信スタイル、ハンバーガーの最新トレンドまで、偏愛とこだわりに迫ります。
目次
- 目次
- 6年以上ほぼ全食ハンバーガーという驚きの生活
- ハンバーガーは具材だけでなく「ビルド」が命
- 毎日ハンバーガーを食べても健康診断はオールA
- “ハンバーガー好き”を増やすInstagramの工夫
- えどぽよさんが通いたくなるハンバーガー店とは
- 近年のバーガートレンドは“甘塩っぱい系”
6年以上ほぼ全食ハンバーガーという驚きの生活
毎日1食以上ハンバーガーを食べているバーガーマニアのえどぽよさん。これまで訪れた店舗は累計2,000店舗以上。チェーン店から個人店までハンバーガーが食べられるお店をくまなく訪ね、Instagramで紹介しています。2023年にはテレビ番組『マツコの知らない世界』(TBS系列)にも出演。その名を全国的に知らしめました。

「毎日ハンバーガーを食べる」といっても、1日1食以外は、別のものを食べているのだろうな……。そんな気持ちでインタビューを始めたところ、驚くことに、本当に基本的に“全食ハンバーガー”。なんなら、「ハンバーガー以外のものは、年に数えるほどしか食べていない」と、えどぽよさんから想像の斜め上をいくひと言が返ってきます。
「少し前に、ものすごく久しぶりにうどんを食べたのですが、だしのやさしいうまみに涙が出そうになりました。また別の日には、数カ月ぶりにご飯を食べたら、箸を使うのが久々すぎて、指がつりました(笑)」
こうあっけらかんと笑うえどぽよさんに、若干の狂気を感じずにはいられません……!
「学生のころ、友人の家の近くにオープンした、東京・本郷三丁目の『FIRE HOUSE(ファイヤーハウス)』に行ったのが、すべての始まりです。
パティの圧倒的な肉感とバンズのおいしさに、『ハンバーガーってこんなにうまいのか!』と感動しまして。当時は、ハンバーガーといえば、ファストフードチェーンのものくらいしか食べたことがなかったので、衝撃でしたね。そこから、食材や調理法にこだわった“グルメバーガー”に夢中になりました」
現在では、“グルメバーガー”はジャンルとして確立されていますが、そもそも巷にファストフードチェーンとは異なる「ハンバーガー専門店」が増え始めたのは、いったいいつごろからなのでしょう。

「2000年前後でしょうか。
1996年には、先ほど紹介した『FIRE HOUSE』、翌年には東京・青山『KUA`AINA(クア・アイナ)』、2000年には東京・人形町『BROZERS’(ブラザーズ)』など、のちにグルメバーガーブームを牽引していく店舗が続々オープンしています。
その後、『FIRE HOUSE』や『BROZERS’』で修行したかたがたが独立し、そこからどんどん専門店が増えていきました。その勢いに乗って、私もどんどん“ハンバーガー沼”にはまっていったのです」
ハンバーガーは具材だけでなく「ビルド」が命
一見シンプルながら無限の選択肢がある
えどぽよさんをここまで沼らせるハンバーガーの魅力とは、何なのでしょう。それほど毎日ハンバーガーを食べていて、飽きることはないのでしょうか。
「これが、全然飽きないんです。同じお店のハンバーガーだけをずっと食べていたら飽きるとは思いますが、お店ごとにバンズも違うし、具材の重ね方も違うし、パティの種類も違うから、毎回新鮮な気持ちで楽しめるんです」
ハンバーガーの構成は、基本的に「バンズ・肉・野菜」。一見シンプルですが、えどぽよさんの目には、宇宙のように深く、広い世界に映っています。
「バンズひとつ取っても、ハードなものからソフトなもの、さっぱりしたものから、ブリオッシュのようなリッチな味わいなものまで、いろいろあります。
パティは、基本的にひき肉を使ったミンチパティが主流ですが、東京・三軒茶屋にある『Baker Bounce(ベーカーバウンス)』をきっかけに、ブロック肉をていねいに手切りして細かくしながら成形する、“ハンドチョップのパティ”が近年定着してきました。
肉は切り方で食感が変わりますし、産地によっても、肉質や牛脂のうまみが全然違いますよね。オニオンも、焼くか生のままかで印象が変わりますし、レタスやトマトの分量や切り方にも個性が出ます。
味つけも、塩こしょうだけのところもあれば、バーベキューソースやケチャップ・マスタードを使うお店もあって、本当に無限の選択肢があるんですよ」
“重ねること”こそがハンバーガーの真骨頂
たしかに、ハンバーガーというとB級なイメージがありますが、これらの具を一つひとつきれいに皿に並べたら、こだわりの洋食店で提供されるような、贅沢なプレートメニューになりそう。それをあえてせずに、“重ねること”こそがハンバーガーの真骨頂だと、えどぽよさんは語ります。
「ハンバーガーの具材の重ね方、組み立てを『ビルド』といいます。ビルドは奥が深くて、どう組み立てるかによって、味がまったく変わるんです。
一番下にくる具材は、最初に舌に当たるので、そこにパティがあると肉々しい。一方で、野菜があると、フレッシュでバランスのよい印象になる。狙う食感や風味を実現するために、どう組み立てるか。お店のかたは、相当考えているはずです」
いわれてみれば「なるほど!」ですが、完全なる盲点。ビルドの存在に気づいた途端、ハンバーガーの魅力に立体感が出てきます。
ということは、逆さにして食べると味が変わるのでは? という筆者の素朴な疑問には、
「そうなんです。じつはひっくり返して食べると味が変わるのですが、お店のかたのこだわりが詰まったビルドなので、もちろんそんな失礼なことはできません(笑)」
と、えどぽよさん。作り手へのリスペクトが止まりません。そして、忘れてはいけない“ハンバーガーの魅力”が、その食べ方。
「ハンバーガーは、ナイフとフォークで上品に食べるよりも、手や口の周りを汚しながら、気にせずに豪快にかぶりついてほしいですね。お店も、それを想定してビルドしていますから」
毎日ハンバーガーを食べても健康診断はオールA
意外とヘルシーなグルメバーガー
「1日1食必ず食べる」どころか、日によっては2食、3食、ときには昼4軒、夜3軒と、合計7軒も“ハシゴバーガー”をする生活を、6年以上も続けているというえどぽよさん。
「1日7個まではおいしく食べられますが、なぜか、8個目になると辛くなってしまうんですよね。何度か挑戦しましたが、8個目がひとつの壁のようです」
こんな話を聞くと、ワイルドな大男をイメージしますが、実際のえどぽよさんは、すっきりとした体型で、顔色もよく、健康そのもの。運動もせず、サプリも飲まずで、健康診断の結果はなんとオールA!
「グルメバーガーは、たっぷりの野菜と肉がバンズに挟まれていて、いっしょに食べられるバランスのよい料理なんです。
食感が大事なレタスやトマト、オニオンなどの野菜はごまかしがきかないので、鮮度のよいものが多いですし、パティに使う肉も産地にこだわった上質なものが使われています。
パティの中には、かたまり肉から余分な脂身を落として、上質な赤身だけを残しているものもあって、脂質も控えめ。塩分もそれほど高くないですし、意外とヘルシーなんですよ」
「グルメバーガー」とひと言でいってもバラエティ豊富
さらに、ハンバーガーのバラエティの豊かさにも助けられているそう。
「チキンやポークを挟んだハンバーガーもありますし、魚が食べたいと思ったら、フィッシュバーガーがあります。
埼玉・西浦和のフィッシュバーガー専門店『SEAGOD BURGER(シーゴッドバーガー)』は、おすし屋さんが週末ランチ限定でハンバーガーを提供していて、旬の魚を見事にハンバーガーに仕上げていて、いつも感動しています。おすし屋さんなので、素材も折り紙付きですよね。
季節の野菜やきのこ、フルーツを挟んだものもあるので、食材が偏ることもありません。なんなら、ライスバーガーもありますしね」

注意していることといえば、ひとつだけ。
「ポテトは食べ過ぎないようにしています。『ポテトはハンバーガーのマブダチ』なので、欠かせないものだとは思っていますし、掘り下げ出したら奥が深い素材だと思うんです。
でも、そこは専門のかたにおまかせして。僕は、もしセット内容を変えられるならサラダにして、ハンバーガーに集中するようにしています」
“ハンバーガー好き”を増やすInstagramの工夫
クリエイター
365日、毎日ハンバーガーを食べているバーガーマニア。これまで訪れた店舗は、2025年5月現在で累計2000店舗以上。チェーン店から個人店までグルメハンバーガーが食べられるお店をくまなく訪ね、Instagramで発信中。2023年にはテレビ番組『マツコの知らない世界』(TBS系列)にも出演。
フリーライター。『地球の歩き方』や『ことりっぷ』などの旅行誌を中心に、紙・ウェブ問わずさまざまな媒体の企画や取材、編集、執筆を手がける。あるときはインド仕込みのヨガインストラクター、東京 下北沢にある場末酒場のバーテンダーなど、別の姿も。