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小田真規子さんの 「料理の仕事」を「生きる糧」として続ける姿勢

小田真規子さんの 「料理の仕事」を「生きる糧」として続ける姿勢

小田 真規子, 晴山 香織

料理・フードコーディネートのプロ集団「スタジオナッツ」を主宰する、料理研究家・栄養士の小田真規子さん。女子栄養大学 短期大学部卒業後、竹内冨貴子氏に師事し、低カロリーの健康的なレシピの開発に取り組んだのち、独立。現在まで、長年業界トップクラスの活躍をする小田真規子さんに、これまでの道のりと、「料理」を仕事として成り立たせるための姿勢を伺いました。

目次

  • 趣味ではなく、生きる糧とする「料理」
  • 真摯に取り組む姿勢が、次の仕事を呼び込む
  • 仕事を得るために、心がけていること
  • 自身のスタジオを持って、仕事の幅を広げる

趣味ではなく、生きる糧とする「料理」

中学時代から「料理」を仕事として見ていた

スタジオナッツを主宰する小田真規子さん

「料理研究家」「栄養士」さらには「女子栄養大学 短期大学部卒業」「竹内冨貴子氏に師事」。小田真規子さんのプロフィールにはそんな言葉が並び、順風満帆に料理の道を歩んできたように感じます。しかし。

「料理が好きで、この道に入ったというわけではないんですよ。私にとっての『料理』は仕事。あくまでも食べていくための手段であり、生きる糧となるものなんです」と話します。

小田真規子さんが料理を仕事にしたいと思い始めたのは、中学生のころ。随分と早い段階で、将来を見据えていたことがわかります。

「同じ学校に通っている友人たちが、親の跡を継ぐとか、将来がなんとなく決まっている感じでした。うちは自営業でしたが、私は跡を継ぐというよりも自分の道を見つけたいなと思っていました。何ができるんだろう?と考えて、小さいころから作っていたお菓子で人が喜んでくれるのがうれしい、ということに気がつたんです。母の友人が女子栄養大学(※)出身で話を聞けたというのも大きかったと思います」

(※女子栄養大学……1933年に創立した栄養学専門の私立大学。併設校に女子栄養大学短期大学部、香川調理製菓専門学校がある)

当時「料理研究家」という職業は、限られたひと握りの人。職業としては、あまりよく知られていませんでした。「料理を仕事に」と考えると、必然的に料理人を目指すことになります。中学生の小田さんは、まず女子栄養大学へ足を運んで話を聞き、料理を仕事にするためには知識や技術だけでなく、体力も必要だということを知ります。

「まず、女子栄養大学に入るために、高校では推薦枠をとってもらえるようにして、1、2年はそのための勉強にあてました。一生懸命勉強して、無事に推薦が決まったら、次は、体力をつけるためにウェイトトレーニングをすることに。当時、女性のシェフとして活躍していたかたたちの本を読んで、男性社会のなかでやっていくことは、本当に大変なんだと感じていました。自分に武器がないといけない、と思ったんです。身長が低いので『小さいけど力持ち』って言われるようになりたいと、結構頑張ってトレーニングに通い、そのとき身につけた持久力や瞬発力は、後々すごく役立ったなと今でも思うくらいです」

高校時代から、すでに覚悟を決めて取り組んでいたことが伝わってきます。早く仕事を始めて自身の腕で稼げるようになりたいと、大学は短期大学を選択。在学中から料理人になるべく学びながら、同時に栄養士としての資格も取得します。さらには、製菓の専門学校にも1年通って勉強し、将来の道を考え始めます。

仕事をしながら、自身で勉強も続ける日々

卒業後、料理人になるか、栄養指導の仕事をするかという分かれ道で出会ったのが、竹内冨貴子先生。「カロニックダイエットスタジオ」を主宰し、生活習慣病を予防する食事や、ダイエット指導などを行う先生でした。

「竹内先生は雑誌やテレビでのレシピの提案や、講演会などを行っていました。『料理』の世界には、こういう仕事もあるのかと興味を持って、求人があったので応募したんです。そこからアシスタントとして働くことになったのですが、料理の基本や本質をしっかり理解しないまま仕事を始めてしまったので、それはもう大変でした」

クリエイター

料理研究家、栄養士、フードディレクター。女子栄養大学 短期大学部卒業。「料理・フードコーディネートのプロ集団」として活動する、株式会社スタジオナッツ代表取締役。栄養バランスがよくヘルシーでありながら、おいしく工夫に富んだレシピが人気。書籍、雑誌、広告、企業のメニュー開発など、幅広く活躍中。

フリーライター。出版社オレンジページに入社し、生活情報誌『オレンジページ』『オレンジページ インテリア』の編集を担当したのち、フリーランスに。暮らしやインテリア、カルチャーを中心に、雑誌や書籍、WEBで執筆・編集を行う。

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