Instagramのフォロワー数が8万人超え(2024年2月現在)のもちさん。もちさんが投稿する「おえかきレシピ」は、材料や手順が写真に直接描きこまれていて「簡単・わかりやすい」と大評判。料理が苦手な人でも「これなら私でも作れそう!」と思えるのが魅力で、その人気から、なんと会社員ながら著書を2冊も出版されています。
今回はそんなもちさんの「おえかきレシピ」を深掘り。Instagramで投稿を始めたきっかけや人気を集めるためのポイント、著書出版の経緯などお話を伺いました。
目次
- 「おえかきレシピ」が生まれるまで
- 見られる投稿にはオリジナリティが大切
- 著書の出版で自己肯定感が上がった
- 自分がやりたいことを突き通していきたい
「おえかきレシピ」が生まれるまで
SNSのレシピ投稿で自分の新しい価値を見出す
「食べることは好きだったけど、料理は以前から苦手だった」と話すもちさん。そんなもちさんが「おえかきレシピ」を投稿するに至ったのは、本職であるデザイナーのお仕事がきっかけだったそう。
「現在はスマホアプリのデザインの仕事をやっていますが、以前は食に関するデザインの仕事をしていました。そこは老舗の大手企業だったので、いち新人としてだと、会議などに出席してもなかなか発言ができなかったんです。
それは、新人だから経験が少ないという問題だけでなく、どれだけ物事を知っていて理解できているか、というのも大きくて。しかも技術面の知識も求められる分野だったので、私もこれから技術的なところを勉強して……というのでは、時間がかかりすぎます。であれば、なにか周りとは違う視点や知識を持ってこの会議に参加すればいい。そのためにはどうしたらいいかと考えたんです。
そしてたどり着いたのがInstagram。当時私の周りでSNSをやっている人は少なかったですし、マーケティングに明るい技術者もいなかったので、これが私の強みになれば、この会議はもちろん、この仕事において自分の新しい価値を見出せるんじゃないかと思いました」
自炊は「ラク・ヘルシー・安い」から効率的
SNS投稿は当初から現在のようなスタイルだったのでしょうか?
「最初から今のコンセプトで投稿していました。写真に手描きの文字やイラストを載せるというのは、ファッション雑誌を見ていて、そういうデザインが好きだったから。手描きだと温かみが出るし、視覚的にもわかりやすく、ついつい読んでしまう。料理のコンテンツでも同じようなことができないかと思ったんです」
「当時のSNSのフード系ジャンルって、どれもきらびやかで豪華ですごくおしゃれ。たしかにかっこいいしあこがれるのですが、私がまねするにはハードルが高すぎました。まず、あんな高価な器を持っていないし、手の込んだ料理なんて作れる気がしません(笑)。
私がチャレンジするなら、パッと見ただけで『これなら作れそう』と思ってもらえるようなものにしたい。その方向性なら、写真+手描きの文字&イラストというコンセプトにもぴったりはまります。これだ!と思って、今のスタイルが生まれました」
とはいえ、それほど好きじゃない料理に対して、レシピを次々と提案していくのは大変なのでは……と疑問に思うところ。
「私、物事を効率化する、簡単・手軽にするっていうことに、すごく快感を感じるんです。たとえば、疲れているときにコンビニに行って、たくさんある商品から買うものを選んで、お会計して、またてくてく歩いて帰って……。実際、それすらもめんどうなときってありますよね。そんなとき、家にキャベツ1玉とごま油、塩昆布があれば、それをかけて食べるほうが断然ラクじゃん!と。
ラクだし、ヘルシーだし、安いし、これは自炊しない理由がない!と思ったら、無理なく続けられました。ただ、キャベツ1玉すべてをごま油と塩昆布だけで食べるのは、さすがに飽きる(笑)。なら、今度はオリーブオイルに変えてみたらどうなるだろうと、ちょっとずつ手の内を変えていったんです」
見られる投稿にはオリジナリティが大切
わかりやすいレシピには取捨選択も必要
そうやって生まれた自炊レシピの数々。といっても、新しいアイディアを思いつくのも限度があるはず。どうやって編み出しているのでしょうか。
クリエイター
Instagramフォロワー8万人超え(2024年2月現在)の“せん切りできないゆとりOL”。「ゆる自炊実験」をコンセプトに、手描きのイラストをちりばめた「#おえかきレシピ」を日々投稿。わかりやすく柔らかなタッチのイラストで自炊へのハードルを下げ、だれでもまねできると人気を博す。
フリーライター。大学卒業後、編集プロダクションを経て、フリーランスに。インタビューや生活まわりの記事を中心に執筆・編集を行っているが、基本的には「なんでも書きます」の雑食系ライター。