いま、需要の高い情報を発信していると注目を集める「全農広報部公式Twitter」。フォロワー数は25万人以上にのぼり、引用されたネットニュースが話題になるほど。実際に投稿作業を行っているメンバーのひとりである、JA全農の広報部・福田敦子さんに情報発信のコツを伺いました。
目次
- たった一つのツイートがきっかけとなり、フォロワーが急増
- フォロワーが増えずに試行錯誤した日々
- 担当者・福田敦子さんが実践しているツイート術
- 福田さんが重要視する「安心感の積み重ね」とは?
- 挫折しないSNSとの付き合い方
たった一つのツイートがきっかけとなり、フォロワーが急増
全国農業協同組合連合会(以下、JA全農)がTwitterアカウント「全農広報部【公式】日本の食を味わう」を開設したのは2019年7月のこと。現在、アカウントの運営担当のひとりである福田敦子さんは、その開設のタイミングで外部から転職し、JA全農 広報部に配属されました。
じつは福田さんは、大学を卒業してすぐの2015年に、一度JA全農に入会。畜産分野の技術職として2年ほど働きましたが、「自分には合わない」と感じて退職し、医薬品業界向けの広告代理店で2年働いたあと、再びJA全農に再就職したという経歴の持ち主です。
「広報の仕事がしたいと思って、以前の上司に相談してJA全農に戻ることにしました。広報部のアカウント開設は私が戻る前から決まっていたことで、私はたまたまそれと同じタイミングで戻ったので担当することになったんです。
でも、当時はこのアカウントが何を目的としていて、どんなことを発信していくのか、まったく決まっていなくて……。なので、ひとまずイベントや新商品の情報といったお知らせをツイートしていたのですが、当然のことながら、このやり方ではフォロワーが増えるはずもなく。2019年7月に立ち上げて、翌年4月の段階でフォロワー数700人くらいだったと思います」
そんな状況に転機が訪れたのは2020年4月。コロナ禍で牛乳の消費量が減少することを懸念した農林水産省が、牛乳をふだんより多めに消費することを推進する「プラスワンプロジェクト」を展開したのに際し、ラッシーの作り方を紹介したツイートが大バズり。フォロワー数は一気に1万人超に増えました。
「ここまで反響があるとは思っていなかったので、めちゃくちゃ驚きました。たまたまではあるのですが、当時の状況や空気感にフィットする投稿ができたのが大きかったのかな、と。
語りかけるような口調についても、そこに至るまでの間でいろいろ探っていたかもしれません。Twitterを始めたばかりのころは、プレスリリースをほんの少しやわらかくした程度だったのが、徐々にもっとやわらかい口調になっていって。でも、そこまで砕けてはいなくて。逆にラッシーの投稿がハネたおかげで、こういうノリでも受け入れてもらえるという実例ができたので、投稿するテイストの幅は広がったように思います」
フォロワーが増えずに試行錯誤した日々
ラッシーの投稿で注目を浴びて以降、コンスタントにフォロワーが増えるようになったという全農広報部公式Twitterアカウント。ですが、それまではなかなかフォロワーが増えず、福田さんも「これでいいのかな?」「よくはないよね」「でも、どうしたらいいんだろう……」と迷いながら運営していたといいます。
「最初のころによく参考として見ていたのは、単にフォロワー数が多いというよりも、個別の投稿への反応が多いアカウント。なかでもニッカウヰスキーさんやシャトレーゼさんの公式アカウントを参考にさせていただいていました。
ニッカウヰスキーさんは自社の商品を使ったレシピの投稿が多いんですけど、そこに安定して1000とか2000の“いいね”がついていて。企業アカウントとしてはかなり高い反応率で、これを目指したいなと思いました」
福田さんが“反応率”に注目したのは、次のような理由がありました。
クリエイター
農家(組合員)の営農と生活を支え、よりよい社会の構築に貢献しているJAグループの中で、農畜産物の販売や生産資材の供給といった経済事業に携わっている組織。通称「JA全農」。近年ではTwitterの公式アカウントが話題をよび、注目を集める。
フリーライター。週刊情報誌を制作する編集プロダクション勤務を経て、フリーランスに転向。インタビューを中心に活動しており、俳優やミュージシャンのほか、料理家や栄養士へのインタビューなど食関連の取材も多く手がける。